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Diary(04.02.)

2月29日(日)

 4年に一度だけやってくる2月29日。そんな日付にちなんで、この日のBBSのテーマは「何年かに一度しかしないこと」。昨晩けっこう深く飲んだことを思い出し、自分では「泥酔」と書き込んでみた。昨日の夜は、番組スタッフや若手のプロモーター数名と飲みに行った。最初にビールを飲んで、ソルティドッグを2杯、焼酎をロックで3杯ぐらいは飲んだはずだが、時間が長かったせいかちっとも酔わなかった。しかしやはり翌朝の体調には影響が出る。下痢はするし胃はもたれるし、声も嗄れ気味。番組前日に深酒はいかんなとあらためて思った。
 僕は泥酔するとスパッと記憶が途切れ、陽気になるタイプ。ビールのような発砲系の飲み物が苦手で、先輩に一気飲みを強要される学生時代は、ビールのかわりに同じ量の日本酒をイッキして許してもらっていた。日本酒を一度に3合ぐらいも飲むと、さすがにろれつが回らなくなり、飲んでいるものの味もわからなくなって、記憶に残らないパラダイスへまっしぐら。学生時代には毎晩のようにしていた、そんな無茶苦茶な飲みは、しかしもう10年ぐらいしてない。

2月28日(土)

 サラリーマンが異動の知らせに怯えるように、春が近づくこの季節、放送に携わる人間は改編のことで戦々恐々となる。今の段階ではここに記すわけにいかないが、僕の仕事に関する変化もいくつかある。そしてもちろん他の番組についてもあるだろう。改編というのは、DJが替わったり、あるいは制作者が替わったり、番組そのものが終わったりということ。どれも当然、聞いて楽しい話ではない。まだ発表されないそれらの人事についての情報が水面下で囁かれるのは、正直とても気分が悪い。
 そんな中、175Rの新曲「GLORY DAYS」に少し勇気づけられる思いだった。「ハッピーライフ」と「空に唄えば」で一気にブレイクした彼らが、またも青春パンクをシングルとしてリリースする。どの曲も似たようなテーマで、歌詞に小細工はない。誰もが将来を憂えて戸惑う思春期に、ポジティブな士気を鼓舞するような曲ばかりを出している印象だ。もう少し彼らが器用で、ヒットする音楽を研究する小賢しさを持っていたら、今の地位はなかったような気がする。その荒削りな真っ直ぐさとか一生懸命さが胸を打つのだ。175Rのブレイクは、今の若者達が、決して無気力などでなく、前向きなパワーに飢えていることの証明といえる。

2月26日(木)

 春眠暁を覚えずとはよく言ったもの。8時間近く寝ているはずなのに、なかなかすっきりと起き出せない。
 今日とても驚いたニュースは、若村麻由美の結婚。「はっさい先生」でデビューした後、NHKの「連想ゲーム」に出演した時に初めて見て、以来15年以上の間、僕はずっとこの人に憧れてきた。いつ、どんな人と結婚するのだろうと興味はあったが、宗教家とはビックリ。いろいろ物議を醸しているらしいが、お相手がどんな人であれ、すでに10年来の付き合いということなら、きっとこれからも幸せになるのであろう。誰とどんな恋愛をしようとファンがとやかく言うことではない。ただ結婚を機に女優業が控えめになるならそれは残念。僕に言わせれば、新地のママよりよほど魅力的な、財前教授夫人を見るのが楽しみの「白い巨塔」なのに、今夜の放送回に彼女は登場しなかった。がっかり。
 最近、「美人女優とお金持ち」というカップルの結婚がなぜか多い。ちゃんと長続きするのだろうかと他人ながら心配になってしまうような組み合わせばかりだ。いや若村さんがそうとは言わないけど。有名人の離婚率って普通の人と比べて10倍ぐらいではないか、と思うほどに芸能人の結婚生活は破綻しやすい。妊娠しましたー、結婚しましたー、産まれましたー。そこまでは幸せそうな笑顔を見せておいて、何年も経たないうちに離婚。それぞれの事情があるんだろうし、恋愛は個人の自由だけど、物心をつく前から両親が離婚していた子供は気の毒だと思う。

2月25日(水)

 デジネバの収録前後は、いつも腹ぺこになるため、よくスタジオへお菓子を買っていく。コンビニでお菓子を選ぶのは、多分誰にとっても、想像以上に時間のかかる作業ではないかと思う。コーンやポテトなどの塩辛いスナック系を一つ、チョコやクッキーなどの甘めのものを一つ、そして煎餅系を一つ…みたいなバランスを考え、適度に斬新で、適度に定番な組み合わせというのが、実に難しい。前置きが長くなったが、今日のテーマは東ハトのオールレーズンについてである。
 ギンビスのアスパラガスビスケットと並び、オールレーズンは僕にとって、幼少期からの思い出をともに歩んできた愛着のあるお菓子だ。平たくいえばレーズンの入ったクッキーなのだが、クッキーの生地よりレーズンの占める割合が圧倒的に多く、例えば割ろうとした時にパキンとは言わずに、ふにゃっとなる。適度な甘さと独特の歯ごたえがクセになる、とてもおいしいお菓子。僕が生まれたのと同じ昭和47年に発売され、31年を経た今もコンビニに並んでいることが、多くの人に愛され続けている事実を裏付けているといえよう。
 ところがこのオールレーズンが、デジネバスタッフにはてんで不評だった。「うわー懐かしい!食べる食べる!」とみんなが群がってくる図を想像していたのに、そもそもみんなこのお菓子を知らないのだ。「おいしいから食べてごらんよ」と勧めてみても、「あーあたしレーズンがダメなんですよねー」とか、「いいです。何か見た目が…」とか何とか、とにかく食べてみようとする気配すらない。頼みの綱であった年長のチーフディレクターだけは思い出してくれたが、「あー、知ってる知ってる。俺嫌いだけど」とにべもない返事。みんなで食べようと思って買ってきたのに…。僕以外誰からも相手にされないオールレーズンが、テーブルの中央で僕に悲しい背中を見せていた。そしてその横で、飛ぶように売れる新参のお菓子たち。世代交代の波が残酷なのは、どの世界も同じか。

2月24日(火)

 この冬は、ケーブルテレビで放送されるNHLの試合をよく見ている。J-SPORTSで放送される試合には原則として日本語の実況と解説がつけられており、いつもだいたい同じような人が喋っている。J-SPORTSでNHLを見ている人がどれくらいいて、そのうちの何割ぐらいが日本語で見ているかは定かでないが、これがとにかく信じられないほどやる気のなさそうな実況なのである。最初のうちはその不真面目さが鼻についたが、毎週見ているうちに楽しみになってきた。一番面白いのは、土居壮アナウンサーと、スポーツジャーナリスト神戸達夫という組み合わせ。まあアイスホッケーの試合は、ゲーム展開のスピードが他の競技と比べて異常なほどに速いため、パックの動きをいちいち言葉で説明するのは不可能ではある。しかしこの二人の場合は、試合と無関係の雑談をしている時間が非常に多いのだ。そもそもアメリカから送られてきた映像をテレビで見ながら喋っているだけのもので、二人が現地で試合を見ているわけではないので、はっきり言って臨場感はまるでない。実況というよりは、ホッケーの好きなおじさん二人が、試合を見ながらぶつぶつ喋っているだけ、という感じに近い。選手達の噛んでいるガムがどうだとか、有名なゴルフ選手がこのチームのファンだとか、緊迫した試合が行われている最中にそんなホッケー談義がひたすら続き、時折思い出したように試合の内容に触れる。「おっと、今のパスミスはよくないなぁ。よくない。これ、危ないですよねぇ?」「そうですね。危険ですよ」とか、「あれ?今のはファウルにならないんですかね?」「そうみたいですね」「あー、やっぱり怒ってますよ。怒ってる怒ってる(笑)。」みたいなノリ。そんな実況なら誰にでもできる。しかし、熱くなるばかりの絶叫型実況に慣れていると、この脱力具合もちょっと大人でオシャレかも、なんて感じてしまう。スポーツの実況って、素人には絶対に真似のできない名人芸だと思うけど、ベテランの職人が半分趣味で遊んでいるようなこういう雰囲気って貴重かもしれない。

2月23日(月)

 明後日収録のデジネバで紹介するゲームソフトは、「アイ・トーイ・プレイ」という名のパーティーゲーム。PS2にUSBで接続するカメラを同梱している。そのカメラをテレビに載せ、自分の姿を画面に映しながらプレイ。コントローラを使わず、身体を動かして操作する。つまり自分がゲームの中に入り込み、身体全体でアクションをするという、新感覚のゲームである。指先のテクニックを必要としないため、幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層で遊べる点が大きな魅力といえる。
 四方から襲ってくる敵を倒す「カンフー」や、ひたすら窓を拭きまくる「窓ふき天国」、ボクシング、サッカーのヘディングなど、簡単ルールのアクションゲームが全部で12種類。単純すぎて少し飽きやすい部分もあるが、初めての挑戦でもすぐに熱くなり、気がつくと汗をかいている。こういうゲームがあると、確かに宴会は盛り上がりそう。
 エポック社のエキサイトシリーズと同じでこのゲームも、プレイに熱中している人の姿は非常に間抜けである。画面の中では多少かっこよく見えても、テレビに向かって手足を必死にバタつかせている様はかっこよくない。そんな僕の情けない姿が、また番組で放送されることだろう。いやあそれにしても、最近のテレビゲームはすごい。

2月22日(日)

 3月23日に開幕する第76回選抜高校野球大会の、開会式での入場行進曲は、SMAPの「世界に一つだけの花」に決定している。この選曲について疑問視している人の投書を読んで、つくづく納得した。これから試合に臨む球児達に聞かせる曲ではないと思う。
 「人間はそれぞれに違っていて当然なのだから、争う必要なんてないんだよ」というメッセージ自体は、それなりに美しく前向きであると思う。だからこの曲自体を否定する気はないが、スポーツの世界でこんなことを言ってしまったら身も蓋もない。みんなが同じ土俵に立ち、フェアな条件で競争をし、上を目指すのがスポーツの大会というものだ。趣味でマラソンをやっていて、「順位なんていいの。完走することが大事」みたいな目的意識で走っているような人は別として、ライバルに勝ちたい、日本一になりたい、そう思いながら試合に臨むのが、スポーツマンとして自然な姿だ。「勝ちたい!上に行きたい!」と強く願って、その結果として負けてしまったとしても、それまでに重ねた努力がその人を成長させる。だからこそあらゆる競技は美しい。
 人それぞれの個性を尊重するのは大切なことだ。ミスチルの「誰の真似もすんな。君は君でいい」という歌詞に僕も感動したクチ。しかしだからといって、「競うことはよくない」とする風潮はどうか。そもそも資本主義は競争によって成り立つ仕組みである。「負けても別に悔しくないよ。だって僕はオンリーワンだもん」という人間ばかりの国になったら、いつか日本は滅びる気がする。まあそれは極論としても、ああいう曲が200万枚も売れる今の日本って、何だか弱い国だなと思ってしまう。

2月21日(土)

 なんばハッチで開催された、「BUBBLE FESTIVAL 2004 "冬将軍"」を見に行った。SONS OF ALL PUSSYSが主催するライブイベントで、大阪での開催はすでに4度目。メジャーのレコード会社が絡んでいないイベントなので、今まではなかなか見るチャンスがなかったが、先日BEAT SHUFFLEでSOAPをゲストに迎えた経緯もあり、今回初めてお邪魔した。L'Arc-en-CielのKenが、元L'Arc-en-Ciel&元ZIGZOのSakura、ベースのEinとともに結成したバンドがSOAPだ。やってる音楽は真面目だが、バンド名やツアータイトルからもわかるとおり、基本的には遊び心いっぱいの「楽しんでやってます」というタイプのバンドである。
 イベントは、メインディッシュであるSOAPのライブが始まる前に、同じDANGER CREWに所属するVelvet Spider(44MAGNUMのJIMMYの別ユニット)から始まり、L'Arc-en-CielのD.yukihiroがギターとボーカルと務めるバンドacid android、そしてミクスチャーバンドのSUCK DOWNがライブを行った。王道的ハードロック、デジタルハードコア、HIP HOPテイストの強いミクスチャーと、タイプの違うラウドロックを堪能できて楽しかった。ヘッドライナーのSOAPは、アンコールを含め10曲のボリュームで、その人気とパワーを印象づけるライブを見せた。やっぱりライブはロックに限る。
 ところでこの日、セットチェンジの間、場を繋ぐためにお笑い芸人がステージに登場した。日頃テレビをほとんど見ない僕は、関西の芸人にはとんと疎い。二人がステージに登場した瞬間に、客席で上がった大歓声から、「この人達はすごく有名らしい」ということは察したが、僕は初めて知る名前だった。10分近くもネタを披露し、充分すぎるほど笑いを取ってステージを去った二人の名は、麒麟。関西における女性中高生の間では、ジャニーズやロックバンドと同じくらいメジャーなアイドルとしてお笑い芸人の文化が根付いていることを、あらためて痛感する盛り上がりだった。その後、いろんな人から、「麒麟を知らないのは、やばいよ」というようなことを言われた。だって興味ないんだもん…。知っていてもプラスにならない知識は吸収しない習慣がついている。

2月20日(金)

 毎週利用している夜行バスが、1時間半も遅れた。雪による通行止めや交通渋滞ではなく、乗客同士の間で起こったトラブルが原因だった。ヘッドホンで音楽を聞きながら発車を待っていたのだけど、いつまで経ってもバスが動かない。ヘッドホンを外すと、路上で何やら怒号が聞こえてきた。隣の乗客に「何があったんですか?」と尋ねたが、「さあ?何かもめてるみたいですね…」と首をかしげるだけだった。1時間ほどもそんな状態が続き、やがて警察まで呼ぶことに。あんまり時間がかかっているようなので、一度だけ外に様子を見に行った。警官を交えた口論を盗み聞きしたところでは、発端はこうだ。中年の男性客の一人が、若い女性の客にセクハラっぽい発言をした。それに対して他人の男性客が立腹して、「降りろ」だの何だのという言い争いになった。たったそれだけのこと。その解決に、警察の手を借りても2時間を要した。その間、他の乗客は全員バスの中でひたすら待たされたが、その理由についての説明は何らされなかった。喧嘩をしていたうちの一人はどうやら酒に酔っていたようだし、こんなトラブルの対応に困惑していた様子の運転手には同情するが、それにしても手際が悪すぎる。おとなしく乗る意思がないなら、二人とも降ろしてさっさと発車するべきだった。こんなことでいちいち遅延されたのでは、たまったものではない。ああムカつく。

2月19日(木)

 来週のROCK KIDSで紹介する必要もあるので、B'zのLIVE DVD「Typhoon No.15」を見た。去年の9月に、渚園で行われた大規模な野外ライブの模様を収録している。B'zの15周年を記念したツアーの集大成となるライブで、デビューから満15年を迎えた日にライブは行われたわけだが、ちょうどその日に台風15号が渚園を直撃したというのだから、これはもう運命的なものを感じずにはいられない。どしゃ降りの中でライブは幕を開け、アンコールでようやく小降りになるまで、これでもかというくらいに降り続いた。びしょ濡れになって歌う稲葉浩志はそれだけで生きた芸術品である。ステージ上のアーティストはもちろんのこと、観客やスタッフも、天気が悪い中での野外ライブほど過酷なものはないのだろうが、雨がある意味で最高の演出になっていることも事実だ。
 B'zが毎年のようにドームツアーを行い、そのたびにチケットを売り切るだけの動員力を長年維持しているのは、彼らのライブが面白いからにほかならない。そしてその面白さは、きっと体験してみなければわからない種類のものだろう。エンタテイメントを追求したショーとしての完成度、ステージ上のパフォーマンス、完璧な演奏…どこに目を向けても、日本が世界に誇る超一級のアーティストであることを立証している。この時のツアーは、これまでのヒット曲を惜しみなく散りばめた構成になっていた。オリコン1位のシングルを何十曲も生んできたB'zがそんなライブをするのだから、絶対に誰でも知っているような曲がひたすら続く、後半からアンコールにかけての盛り上がりは、映像を見ているだけでも興奮するものがある。「行きてえなぁ」という言葉を、このDVDを見ながら僕は何度口にしたかわからない。
 ライブビデオの楽しみ方は人それぞれだと思うが、このDVDに関しては、「複数の人間で、ワイワイ見る」ことをおすすめしたい。別にB'zのファンばかりが集まる必要などない。元より誰でもわかるような曲ばかりのライブなのだ。鍋でもつつきながら、あるいは酒を飲みながら、このDVDを流し、「今のダイブすごくねえ?もう1回見てみよう」だの、「この曲って何で使われてたっけ?」だの、「この衣裳を着てサマになる奴は稲葉さん以外にいないだろうな」だのと、いちいちコメントしつつ、みんなで「すげー!すげー!」と騒ぎながら見るのが一番楽しそうである。ちょうど、サッカーワールドカップの時、誰かの家に集まって応援したような雰囲気で。
 ROCK KIDS 802のスタッフ、さわちゃんは先日、ぼそりとこう言った。「私、この仕事してるのに、B'zのライブを見たことがないんですよ。もう、非国民ですよね」。まあそれはいくぶんオーバーな表現だとしても、彼女が疎外感を抱く心情はわからなくもない。B'zのライブを見た人で、その印象を悪く語る人はいないのである。

2月18日(水)

 昨夜は睡眠時間が3時間ぐらいだった。予習はバッチリだった「イノセンス」の試写だが、睡魔と戦いながらの100分となってしまった。しかしこの映画はすごい。映像の美しさには本当に圧倒された。絵に色を塗って、それを少しずつ動かしていくところから始まったアニメーションの技術は、21世紀を迎えてここまで進化したか。人物の描写以外はほとんどがCGで、実写と見紛うほどの美しさ。単に上手な絵を見ている気分ではなく、かといってテレビゲームのCGムービーとも違う。考えようによっては、マトリックスのような実写映像よりもリアル。とにかく、こんな映像は見たことがないというシーンが、迫力の大スクリーンで展開された。
 しかしストーリーは正直言って、あいかわらずよくわからない。善が悪を倒すというような単純な構造になっていないところこそ、押井ワールドの真骨頂であるともいえるだろう。ジャパンアニメの行き着く先は決してハリウッドのようなエンタテイメントではなく、制作者の芸術家としてのはけ口なのかもしれない。宮崎駿にしろ、FFの坂口博信にしろ、そして押井守にしろ、最終的に描く未来は人間の愚行による退廃に満ちている。これだけのお金と技術を使い、ドンパチやってちょっと恋愛もあって最後にホロっとくるような、サルでもわかるストーリーの映画を作ったら、間違いなく当たる。ハリウッドのアニメなんざ目じゃない。それを、もったいないと思うかどうかだ。

2月17日(火)

 明日、映画「イノセンス」の試写を見に行くことになり、その予習を兼ねて「攻殻機動隊 GOHST IN THE SHELL」をビデオで見た。鬼才、押井守監督が、95年に作ったアニメ映画である。ウォシャウスキー兄弟がこの映画を見て「マトリックス」のストーリーを思いついたのは有名な話。後頭部にコードを突き刺し、脳味噌ごとサイバー空間にアクセスするという設定などを見ても、世界観は「マトリックス」とよく似ている。ストーリーが難解で、哲学的なところも同じ。しかし近未来の描き方は現在のハリウッド作品などよりもはるかに先鋭的でクールだ。
 見終わった頃には夜中の1時を回っていたが、眠たい目をこすりながら、明日収録のデジネバで紹介するゲームを練習。コナミの新作、「COOL GIRL」というアクションシミュレーションゲームだ。敵キャラと倒しながら軽い謎解きを重ね、ミッションをクリアしていくゲーム。とにかく疲れていたので、適当にさわりだけ遊んで寝ようと思っていたのだが、やり始めたらすっかり熱中。方向音痴の僕でも飽きないレベルの難易度だったためか、どんどんのめり込んでしまった。このゲームの最大の特徴は、主人公が二人いるということ。2枚のディスクが「アイス」と「アスカ」に分かれていて、拳銃の使い手と、女忍者、それぞれのストーリーでゲームが始まる。キャラクターの操作方法や画面の表示などは同じ、つまり一つのゲームなのだが、内容は全く異なる。一粒で二度おいしいゲーム。どちらもなかなか面白い。そしてもう一つの特徴として、「リアルワールドからサイバーワールドへのダイブ」というのがある。コンピューターにアクセスしてサイバー空間にダイブすると、そっちの世界では素手でしか戦えない、という仕組み。「攻殻機動隊」を見た直後にこんなゲームをプレイしたものだから、頭がどうにかなりそうだった。この発想って、よほど革新的らしいな。

2月16日(月)

 最近、来月発売となるスキマスイッチの新曲「奏」をよく聞いている。去年発売された彼らのファーストアルバムは、僕が2003年のベストアルバムに選んだ1枚。彼らの幅広くセンスのいいサウンドと、一見平凡なようで奥の深い歌詞の世界観が僕はいたく気に入ったのだった。今回のシングル「奏(かなで)」は、二人の真骨頂ともいえる美しいバラードである。駅の改札口で、いよいよ離ればなれになろうとしている二人が、これから始まる遠距離恋愛の日々を前に、自分たちの愛を確かめる、というような歌だ。わざとらしくない程度にリアルで、女性だったらきっと憧れるであろうドラマチックな場面が描かれる。そんな情景描写のあるラブバラードで、セカンドシングル。どうもミスチルの「抱きしめたい」とイメージが重なるのは僕だけか。
 それにしても最近、なぜこうも遠距離恋愛を歌った曲が多いのか。CORE OF SOULの「Purple Sky」もそうだし、ハックルベリー・フィンの「アカネ」、FLOWの「流星」など、距離を越えて結ばれている愛の歌がリリースラッシュな気がする。

2月15日(日)

 一気に真冬の天気に逆戻り。北風の冷たい日曜日だった。今日はOSAKAN HOT 100の後、京橋の駅前で行われたフリーライブを見に行った。寒空の下でライブをしていたのは、Cry&Feel itというグループ。女性ばかり4人で構成されるヴォーカルグループである。R&Bが日本のポップスシーンで市民権を得てからというもの、ゴスペラーズを筆頭にコーラスグループも続々と台頭しているが、女性のコーラスグループはなかなかメジャーな存在にのし上がれない状況が続いている。女の子のグループとなるとどうしても、ルックスが最も重要視され、その次に大事なのは踊りだったりして、「歌が上手いのは一人いれば充分、下手な子はラップでもやらしとけ」みたいな風潮がある。そういうのは当然アイドルとして扱われ、そして当然売れない。そんな悪しき慣習を打破すべく、正統派のコーラスグループとして徹底的に歌唱力で勝負しているのが、このCry&Feel itというわけだ。今日、初めて生で聞いてみたが、確かに歌は上手かった。5分も見ているだけで震えてくるような寒さの中、終始笑顔で熱唱する彼女達のひたむきな姿にも少し感動。Wilson Phillipsのように、女性の声だけで構成される三部以上のコーラスは、聞いていると何だか心の中を歯磨きしたようなすがすがしい気分になるから好きだ。

2月14日(土)

 バレンタインだというのに、全国各地で春一番。昼間は穏やかな陽気だったが、夕方から急に空が荒れた。
 昨日、NACK5でスタッフやリスナーの方からもらったチョコレートを、僕は紙袋に詰めて持ち帰ることにした。僕に対する非難の声が上がるのも承知の上でここに懺悔する。僕はその紙袋を、バスの車内に忘れて帰宅した。
 2つ以上の荷物を持つと、けっこうな確率でそのうちの一つを忘れる僕だから、荷物が多くなった時はNACK5から宅急便で自宅に送ることにしている。でも、バレンタインのチョコレートぐらいはちゃんと持ち帰りたくて、昨晩はめずらしく紙袋を携えてバスに乗った。それを、頭上の棚に載せてしまったのが失敗だったようだ。バスを降りる時はいつも、起き抜けで半分寝ぼけており、しかも車内がけっこう暗い。いつも通りに手際よく降りたつもりが、大事な袋を持っていないことに気づいたのは、駅のトイレで用を足してからだった。
 JRの夜行バスには過去にも数回忘れ物をしており、問い合わせ先とか保管されている場所などは、情けないほどに熟知している。午後に車で此花区にある車庫に受け取りに行った。事務所へ行き、「すいません、忘れ物を取りに来たんですけど…」と声をかける。すると名前を聞かれ、「浅井といいます」と答える。ここまでは以前と同じパターンだったが、僕の名前を聞いたおじさんの反応が違った。「あ!あのチョコレートの…」とニッコリ。僕が忘れたのは、いかにも洋菓子屋っぽいきれいなデザインの紙袋で、その中はラッピングされたままのチョコレートであふれていたのだ。バレンタインデーの朝にそんなものを忘れていく客はどんな色男かと、朝から噂にでもなっていたのかもしれない。おじさんに促されて僕の忘れ物を持ってきた女性は、ニコニコ、というよりニヤニヤと笑みを浮かべつつ、「こちらに名前と住所をお願いします」と言って用紙を僕に手渡した。ここでまた僕の自意識過剰気味の空想劇場が幕を開ける。きっとこの女性、「どんな男前が来るのかと思ったら、どう見ても三十路のそこらへんにいるおっさんやん。がっかり。それにしても何なのよこのチョコは。盗品かしら」とか思いながら、僕を見ているに違いない。そんなことを考え出すと急に恥ずかしくなって、いっぺんに汗が噴き出した。
 ともかく大切なチョコレート達は無事に我が手に戻り、今年も幸せな甘さを噛みしめている。くれた皆さんありがとう。忘れてごめんなさい。

2月13日(金)

 初めて、BEAT SHUFFLEのゲストに清春さんを迎えた。清春さんは、自分の子供についての話を案外包み隠さずにする人だ。以前もROCK KIDSに出演した時、娘さんの幼稚園の運動会で、彼もビデオカメラを回すパパになってしまう、というような話をしてくれた。BEAT SHUFFLEでそういうプライベートなネタは不向きという気がしたので、この日はカフを下ろしている時にそんな会話を楽しんだ。「例えば一緒にお風呂に入ったとき、そのタトゥーを見てお子さんは何も言わないんですか?」という、以前から気になっていたところを尋ねてみた。娘さんから見て、「パパの身体に絵が描いてある」のは、「パパは歌手だから」という理由だそうだ。なるほどその認識の仕方は言い得て妙。仮に僕が自分の身体に何かを彫ったとして、子供達に「パパはDJだから」と説明しても、納得してもらえるかは微妙なところだ。
 ちょうど同時期に発表された吉井和哉のソロデビュー作が、すべて自分の手で作られているのに対し、清春さんのアルバムは、錚々たるゲストミュージシャンを迎えている。元DEAD ENDのMORRIEという名前が最も注目されているようだが、僕としてはL'Arc-en-Cielのkenとか、SUGIZOといった顔触れに驚いた。以前は明らかにお互いを避けていた感のある昔からのライバル達と、こういう形で交流を持っていることは、素直に嬉しい。

2月12日(木)

 僕の車のステレオは6枚のCDを連奏できる。1番から3番までの3枚は、その時の気分で、一番聞きたい、気に入っているCDを入れている。しかし4番から6番までの3枚は決して入れ替えられることがない。そこには常に尾崎豊のアルバムが収まっている。そのことは過去にもこの日記で書いたと思う。誰が何と言おうと僕の中で、尾崎豊を超えて好きになるアーティストは、もうこの先現れないだろうと思っている。僕にとって尾崎は、そういう人である。
 来月リリースされる尾崎豊のトリビュート盤は、その参加アーティストの豪華さも手伝って大きな話題になっている。宇多田ヒカルやミスチル、槇原敬之といった大物が尾崎の曲をカバーしていることだけでも大変なニュースだが、175R、Cocco、そして尾崎豊の実の息子など、意外性に富んだ顔触れが参加しており、業界内でも非常に注目度の高いアルバムである。そのアルバムの「試聴会」なるものが今日、ソニーレコードの会議室で催された。
 媒体の人間にはCDを配布し、自宅で試聴してもらうのが業界の通例だが、このトリビュート盤に関してはさまざまな事情から、リリース直前にならないとサンプルは配れないのだという。「皿は渡せないから、聞きたければ来い」という、考えようによっては非常に尊大な対応といえるが、裏を返せばそれは、レコード会社がこの作品の注目度の高さをよく理解し、そしてそのクオリティーに絶対の自信を持っていることを意味してもいる。会場は尾崎が好きな業界人であふれていた。
 試聴は、インディーズのアーティストを中心に収録しているGREEN盤から始まった。公募から選ばれたアマチュアの女性もいれば、EXILEのヴォーカル清木場俊介や元リュシフェルのMAKOTOといった、お馴染みのシンガーも名を連ねている。しかしやはり誰もが聞きたいのは、メジャーで活躍する大物アーティストが集結したBLUE盤だろう。収録されたのは2枚あわせて24曲。原曲に近いカバーもあれば、逆に原形をとどめないほど大胆なリアレンジをしているもの、難しく考えずに自分の得意なサウンドで歌っただけのものもあり、アプローチは実にさまざまだ。尾崎豊をもともと好きだった人が聞いて、どの曲を気に入り、どの曲を認めたくないと思うかは、人によってずいぶん異なるだろう。試聴会が終わってFM802へ向かう車の中、出席していた他のスタッフ達と、気に入った曲はどれだったかと意見を戦わせるのも楽しかった。それぞれの曲についての僕の感想などは、とてつもなく長くなるので割愛したい。
 ただし、このアルバムを「トリビュート盤」と銘打つことに関しては、若干の違和感があることは否定できない。日本を代表する、才能のあるミュージシャン達が、稀代のソングライター尾崎豊の名曲を、カバーしているアルバム。それ以上のものであるという印象を、少なくとも僕は得られなかった。なぜならば、尾崎豊のことをよく知らないと公言するアーティストがやけに多く参加しているからである。参加アーティストを選定したのはプロデューサーの須藤氏で、彼なりの基準に見合うアーティストにオファーを出したらしい。どのカバーも無論素晴らしい仕上がりだとは思うが、どうせならば、尾崎豊を聞いて育ち、尾崎豊に人生を変えられた人々の歌うカバーが聞きたいと思うのは、尾崎ファンとして当然の心理ではないかと思う。GLAYのTAKUROくん、コブクロの黒田くん、CHEMISTRYの堂珍くんなど、尾崎豊をこよなく愛するトップミュージシャンは、僕の知る限りでも枚挙に暇がない。そういう人達が、心の底からの畏敬を込めて、天国の先輩に捧げるカバーこそ、トリビュートと呼ぶに相応しいような気がする。たとえそれが、平凡なコピーばかりになってしまっても。
 ところで、試聴会に参加した他のスタッフはみんな尾崎フリークで、車の中ではけっこうマニアックな話に花が咲いた。みんな口々に、「俺は大阪球場のライブが最初だった」「私は4回行ったかな」「夜ヒットのビデオ、いまだに持ってますわ」といった思い出話を披露するのだが、ハンドルを握っている僕一人、話すようなネタが何もない。僕は尾崎をライブで見たことが一度もなく、それほど詳しいわけでもないのだということを、あらためて痛感させられる。実際、僕が尾崎豊のために使ったお金の額とか労力みたいなものは、普通のファンと比べれば本当に微々たるものだと思う。でも、アルバムを聞いた回数だったら絶対に負けない自信がある。「好きになった曲はとことんまで聞き込む」という僕の習性は、あの当時から変わらないのだった。

2月11日(水)

 世間は祝日。僕の場合、学校は休みになったが、デジネバの収録はいつも通りにあった。昨日に続いて、春のように気持ちの良い陽気だ。
 最近、スキーに行きたいと思うようになった。周りにスキーをする人が多くなったからだ。大学時代までは、1シーズンに5回以上は必ず出かけていた僕である。当時は、夏からのバイト代をすべてスキーに注ぎ込んでいた。その僕がスキーを一切やらなくなったのは、大阪で一人暮らしを始めてからのこと。お金も車も持たない、かけ出しのDJは、まずスキーを断つことから節約を始めた。一切の道具を実家に置いて来たのだ。それから10年。雪山には一度も行っていない。
 そろそろ子供達も大きくなったことだし、六甲山ぐらいならアクセスも悪くないようなので、久しぶりに滑りに行ってみようと思うのだが、一番のネックになっているのが道具のこと。かつては身長より40cmも長いデモンストレーター用の板なんか履いて、目立つウェアでかっこつけていた僕だが、何せあれから10年経っている。21世紀の雪山におけるトレンドとはいかなるものか、正味な話で皆目さっぱり全然わからない。適当にヤフオクで中古のウェアや板を安く買い、いざスキー場に着いてから、自分の場違いさに気づいたのでは遅い、という世界である。周囲の目など気にならないという人もいるかもしれないが、どんなスポーツにおいても「上手っぽく見えること」が大切と考える僕としては、浮いてるファッションだけは是が非でも避けたい。かといって専門店で最新モデルを買いそろえるほどの気合いがあるわけでもない。そんなことをあれこれ考えているうちに、シーズンはきっと終わっていくのだ。滑りたいだけなのに。

2月10日(火)

 パソコンを使っている人はたいてい同じ事を考えているようだが、最近、いわゆる迷惑メールの量がとみに増えた。僕の場合、アドレスをHPに載せているし、roxite.comのドメインでかなりの数のアドレスを保有しているので、普通の人よりも多いだろう。ひどい時は一日に120通ぐらい届く。メールを開いたら、とりあえずゴミ箱ボタンを連打する作業から始めなければならない。間違って必要なメールを削除してしまうこともしばしばある。邪魔だ。ウィルス感染の可能性が限りなくゼロに近いMacユーザーにとって、こうしたスパムメールなど、削除のクリックをする回数が1回増えるだけのものにすぎない。
 Macといえば、Cubaseで久しぶりにOSAKAN HOT 100用の素材を作ってみたのだが、情けないほどに出来が悪い。どういうわけか、使えるはずの機能が作動せず、思った通りの加工が出来ないことが主な原因。以前使っていたiBookで同じことをやってみたり、あれこれと試行錯誤を繰り返したがやっぱりダメで、無駄に時間ばかりがかかった。明け方までかかって完成したその素材は、あらためて聞いてみると「こんなのスタジオだったら15分でできそう…」な粗末なものだった。どうもこのCubaseは言うことを聞いてくれない。

2月9日(月)

 基本的にはこの季節にしか出来ないスポーツだから、時間が作れるようならなるべくアイスホッケーの練習に参加している。いっこうに上手くなりはしないが、白い息を吐くほどの寒いリンクで、汗でびしょ濡れになって、全身から湯気が出るような激しい運動をするのは、かなり気持ちが良い。一昨日と昨日でインラインとアイスの両方をやりまくったので、さすがに筋肉痛がひどい。
 今日は1週間ぶりに耳鼻科へ行って診察を受けた。年末から悩まされていた蓄膿はほぼ完治したらしく、薬も出されなかった。ただし医師は、今後風邪を引くようなことがあれば、すぐにまた副鼻腔炎になるだろうと釘を刺すことも忘れなかった。僕の鼻は、顔を正面から見ても気づかないが、内側は驚くほど曲がっているらしい。右の鼻の穴がひどい形をしているため、奥に膿が溜まりやすいのだという。自分がそういう体質であったことに、30年間生きていて気づかなかった。
 まあともかく、ひとまずはさらば鼻声。

2月8日(日)

 駐車場で僕の隣に止まった友達の車から、聞き覚えのある激しいロックが聞こえてきた。降りてきた彼に確認したところ、それは間違いなくSEX MACHINEGUNSの「JAPAN」であった。「Burning Hammer」に収録されていたライブバージョンを聞きながら運転していたらしい。彼がマシンガンズのファンだったなんて今日まで全く知らなかったので、何だか興奮してしまった。思いがけないところでマシンガーに出会うと、急にその人に親しみを覚えるものだ。
 その彼に貸してあげようと、部屋にあるSEX MACHINEGUNSのDVDをかき集めた。で、今日になって初めて、「鋼鉄箱」の中にあった、東芝EMIの立入ディレクターのコメントを読んだ。ここに彼のコメントが掲載されていることに、今日まで気づいていなかった。立入氏は、僕が池袋CYBERで初めてSEX MACHINEGUNSのライブを見た夜、お寿司をご馳走してくれた人。マシンガンズの音作りを、1から10まで指南してきた、ブレイクの功労者である。その彼が、バンドの解散後、自分とバンドとの関わりの中で生まれた思い出を切々と語っている文章だった。
 「第三期SEX MACHINEGUNSの解散」に際し、僕はそれほどの感慨を覚えなかった。ANCHANGがすでにソロとして動き始めていること、そして第四期のマシンガンズもそう遠くないうちに始動するであろうことを、すでに確信しているからに他ならなかった。武道館のDVDを見ても、涙を流すほどの感動は別になかった。しかし、この立入さんのコメントは反則だ。死にものぐるいでライブを重ね、走り続けたSEX MACHINEGUNSの、苦難の日々を回想せずにはいられない。僕自身もこのバンドとともに数え切れないくらいの思い出を作った。そして、僕も一緒に夢を見たのだ。あらゆる記憶を辿りつつ、もう解散から半年も経った今になって初めて、そんなふうに感動している自分が滑稽で、惨めだった。

2月7日(土)

 チームのメンバーの家に集まって、鍋を突きながら「プライド」の鑑賞会。長年アイホをやっている連中にとって、このドラマにおけるホッケーのシーンに関しては、ここがおかしいとかあそこが不自然だとか、そういうツッコミをいちいち入れているとキリがないらしい。だからそれ以外の場面について突っ込む。「ホッケーの選手が、こんなラゲッジスペースの少ない車に乗るのはいかがなものか」、「チームのメンバーが溜まり場にしているこの店で、深刻な話をする時は、他の客がいてもBGMは消すのか」、「トイレのドアはそんなに簡単に壊れるのか」、「20人程度のチームで200人を相手にケンカをし、翌日に誰一人欠けることなく試合ができるのか」などなど…。そんなのドラマ(しかも月9)なんだからどうだっていいんだ、ということは百も千も万も承知の上で、あえてワイワイ文句をつけると非常に盛り上がって面白い。どれもくだらないあら探しに過ぎないが、ゴーリー松田くんがボソリと言った、「防具が全部ピカピカなんがおかしいわ」という一言には妙に納得。 激しくぶつかり合う過激なスポーツだと誇張するならば、道具がそれなりに汚れていなければ道理に合わない。逆に言えば、少し年季の入った道具を使うだけで、ずいぶんリアリティーが出るはず。アイスホッケーの道具なんて、ちょっと使っただけで見た目はもうボロボロなのである。そのへん、もう少しスタッフは気を利かせて欲しいものだ。そんな新品同様の道具が映るたび、「このスケート私のと同じ!」「僕はシールドが同じだ」「俺なんかメットもスティックも一緒だぜ…多分」などと口々に自慢し合う。なんだかんだと文句を言いつつ、みんなこのドラマが好きらしい。

2月5日(木)

 また寒波が来ているらしくて、大阪から兵庫の海沿いでも雪が降った。まだまだ冬は終わりそうにない。
 今日はデジネバで紹介する予定の映画を試写で見た。ハル・ベリー主演の「ゴシカ」というホラー映画である。ゴシックのテイストを前面に出したタイトルだが、そういう雰囲気の作品ではなかった。女子刑務所の精神科病棟で働く女性の心理学博士が、少女の霊に取り憑かれて夫を惨殺し、結果自らも精神を病んだ犯罪者として収監されるという話だ。ホラーに関しては映画も小説も日本の方が一枚上手であることは確かで、スクリーンから漂う怖さという点では大したことはない。この映画はサスペンスとしての面白さの方が際立っている。科学しか信じなかった医者が、幻影に苦しみ、誰にも信じてもらえない中で、だんだんと真相に迫っていく。鬼気迫る演技を見せる主演のハル・ベリーが素晴らしい。さすがは元準ミスアメリカの美貌に男も女もうっとりだろう。一方、女囚役で共演しているペネロペ・クルスは、実にみすぼらしい印象を与え、決して魅力的な女性には見えない。それだけ役作りがしっかりしていることを意味する。
 それにしても暗い映画だった。昨日見たエンジェルの陽気さと、今日のこの映画の陰気さで、プラマイゼロ。

2月4日(水)

 ずいぶん今さらという感じだが、「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」を見た。初めて前作を見た時にずいぶん感激して、キャメロン・ディアスのファンになった僕だが、この続編にはちょっと期待をしすぎたかもしれない。チャーリーズ・エンジェルといえば、漫画のようにはちゃめちゃな展開と、そのくせ意外に本格的なアクションシーン、そして脳天気でキュートな美女の演技こそ最大の魅力。それらは今作でももちろん健在だ。ただし物語には入り込めなかった。強引なコスプレ変装とかトリックも楽しいのだが、その変装をしている目的が理解できなかったりして、「今戦ってるこの人は、誰?」みたいなクエスチョンが続く。子供でもわかりそうな映画なのに。これってやっぱり見る側の僕の問題だろうか。率直な感想を書くと、「おもしろいことはおもしろいが、めちゃくちゃ過ぎて意味がよくわからん」という感じ。
 ところで、この映画のもう一つの楽しみがサウンドトラックだ。映画の中で使われる音楽ときたらとにかくもう何でもござれ。主題歌のPINKや、ニッケルバックがキッドロックと共演したエルトンのカバーといった最新のヒット曲も使われるが、ボン・ジョヴィ、ジャーニー、ビーチボーイズなどなど、笑ってしまうほど節操なく懐メロがかかりまくっている。3人がMCハマーで踊るシーンなんてもう最高。センスがあるのかないのかよくわからないけど、とてつもなく楽しい雰囲気がアメリカを感じさせるのである。

2月3日(火)

 ROCK KIDS 802のゲストにYOSHII LOVINSONが登場。普段よりも長め、30分ほどの出演となった。今回の大阪キャンペーンで彼は、かなりの数のラジオ番組に出ている。そのほとんどをチェックするような熱心なファンは当然、「この番組はおもしろかったが、あの番組はつまらなかった」という比較をするだろうから、彼のように人気のあるゲストを迎える時は、ある意味でプレッシャーとの戦いである。本人を前にした時は久しぶりに少し緊張した。
 来週発売となる彼のソロアルバム「at the BLACK HOLE」は、「気負いがあった」ために歌詞の完成には思いのほか時間がかかったという。その彼をゲストとして迎えるDJの僕も、やっぱり3年分の気負いがあったのかもしれない。
 僕の印象としては、実に難解で、それでいてシンプルなアルバムである。自分の音楽を世間がどう受け止めるかはまるで気にせずに、自分の中に湧き出てきた音楽を思うままに録音したのみ。僕にはそんなふうに感じられた。アルバムの中で一番心に残った言葉は、「認めろ 認めろ 諦めろ」だった。彼が「諦めた」ものとは一体何なのか。その説明を求めたら、彼はジョン・レノンの「GOD」を引き合いに出した。「僕はビートルズを信じない 夢は終わった」と歌ったジョン・レノンの気持ちを、吉井和哉はバンドを離れてから実感したのだろう。勝ち得た夢をいつまでも見続けているわけにはいかない。いつかその夢を捨てる勇気を持たなければ、次へ進めない。その思いが「諦めなきゃ始まらないこともあるんだ」という歌詞につながっている。
 夢に敗れた者も、夢を叶えた者も、結局いつかは諦める時が来る。そういうネガティブな現実を歌えるミュージシャンが僕は好きである。

2月2日(月)

 3月に久しぶりのアルバムをリリースするL'Arc-en-Cielが、4月には1stアルバムの「DUNE」を再発する。キューンソニーからメジャーデビューする前にリリースされていた、つまりインディーズ時代のアルバム。そのCD自体はおそらく今も普通に手に入るものだが、再発される「DUNE」には何曲かのボーナストラックが収録される。「Flood of tears」、「夜想花」、そして「予感」。このうち「予感」は爆寸の常連諸君には馴染みの曲だろう。93年に発売されたSHOXXの別冊写真集に、付録として添えられたオムニバスCD「The Monsters Of Shock Age」にのみ収録されていた。いわゆる隠れた名曲だが、古くからのファンには大変人気が高い。盛り上がらないことはわかっていても、爆寸のたびにかけてしまうのは、この曲への執拗なリクエストが必ず来るからであった。この曲にはそれだけの魅力がある。初期の彼らが持っていた妖艶な美しさや、激しさの中のポップさが共存し、当時のこのバンドの魅力を凝縮したような1曲といえる。そんな曲が埋もれていたのは実にもったいない話だが、容易に手に入らないからこそ、「予感」には他の曲にない輝きがあったのもまた事実。実は一度だけROCK VISION 802でオンエアしたことがあったのだが、そういうのってラジオ番組としては掟破りなところがあるので、けっこうビクビクしたものだ。そんな楽曲が、公式にリリースされるのである。一方、「Flood of tears」と「夜想花」は、92年に1000枚だけリリースされた8cmシングルに収録されていた。今の事務所に所属する前の自主製作盤だったが、予約だけで完売し、おそらく今も法外な値段で取引されているであろう貴重盤である。「Flood of tears」の方は後に「DUNE」にも収録されたが、もちろん録音は別のもので、オルゴール音の位置も異なる。僕がこの音源を持っているのは、BRAND NEWで何度も一緒に中国産卓上会議を開いた当時のドラマーPERO氏から、直々にお借りできたからだったりする。
 ともかくそういうレアな音源を、今になって堂々と流通に乗せる根拠は何だろうかとあれこれ考えている。自分たちの知らないうちに、昔の音源がとんでもない闇値で売買されていることに業を煮やしたか。しかしそれにしても、「ヴィジュアル系」というカテゴライズをあれほどまでに嫌悪したL'Arc-en-Cielが、まさにそのシーンを牽引し、ど真ん中ストレートのヴィジュアル系だった時代の曲を、今さら「こんな曲もやってました」と表に出すことに、少なくとも僕は驚きを隠せない。
 もちろん、僕が思っているほど重大なことではないのかもしれない。「レア音源を入れて再発した方が売れるだろうし」ぐらいの軽い気持ちでスタッフから出されたアイデアを、あまり深く考えずにメンバーが承諾しただけ、ということもあるだろう。それにしてもわからない。このバンドの考えていることはなかなかわからない。

2月1日(日)

 OSAKAN HOT 100の後、ライブを見に行った。冬ソニやMisiaなど、FM802のDJやスタッフが行きそうなライブはいろいろ会ったが、僕が向かった先は大阪ミューズだ。コンピレーションCD「きわもの達の果実」のリリースを記念した全国ツアーの大阪公演で、アルバムに参加した各バンドが出演している。ROCK VISION 802が終了してからというもの、いわゆるビジュアル系の、特にインディーズのライブに足を運ぶ機会がめっきり減った僕としては、ちょっと懐かしい雰囲気が漂っていた。出演バンドの人気を反映してこのイベントのチケットはソールドアウト。踊り場の物販スペースやカフェにも客があふれ、スカートを履いた女の子達が地べたに座っている。その場にいるごく少数の男性の目など一切気にしない彼女達の、あられもない素振りを見て、ビジュアル系はまだまだ健在であったことを認識する。
 この日、僕がライブを見たのはdenno:oblaatと人格ラヂオの2バンドのみ。dennoはかつてROCK VISIONでも曲をかけたことがあるくらいだから(もちろん当時は「電脳オヴラアト」の表記だった)、もう4年ぐらい前から知っているバンドということになるが、ライブを見たのは僕の記憶する限り初めてのこと。昭和歌謡が音楽業界でブームになるずっと前から一貫してサイケ歌謡楽団を名乗ってきただけあって、その個性はすでに確立されており、独特の毒々しいサウンドが気持ちの良いバンドだ。曲を覚えたらさぞ楽しいライブだろう。次に登場した人格ラヂオは、ここ2年ぐらいで急激に動員を伸ばしており、最近のホープとして知られる。この日のライブはメンバーの体調も思わしくなかったらしい。選曲も普段よりも少し暗めだったとみえ、客席が暴れる様子は見ることができなかった。いずれのバンドも、次はワンマン並みの長いライブを見てみたい。