
3月31日(火)
昨日、時間に少し余裕があったので、商店街の古書店にふらりと立ち寄ってみた。好きな作家の本が意外にたくさんあって、手に取っていくうち、気がついたら10冊以上もカゴに入っていた。レジに持って行ったら5000円近い。よく考えてみると、どの本もだいたい定価の半額なのだ。つまりハードカバーは800円ぐらい。古本だからただ同然みたいな感覚で躊躇なくカゴに入れていたけど。
というわけで、購入した古本のうちの一冊をさっそく読んだ。最近この日記に頻出する荻原浩の、デビュー作「オロロ畑でつかまえて」。
山奥にある過疎の村の青年団が、何とか村おこしを画策するべく、東京へ。彼らの依頼を引き受けた広告代理店は、倒産寸前の零細企業。前代未聞の奇策で、狙うは一発逆転。しかしもちろん、思惑通りに事は進まない。
作者である荻原は、デビュー前に広告代理店に勤務している。その経験から、彼の作品には広告業界を題材にしたものが多いのだが、この小説はまさにその真骨頂。近代国家日本から隔離されているとしか思えないようなド田舎に暮らす人々は原住民のようだし、仕事ができるようなできないような、個性的な代理店の面々も強烈なインパクト。とにかく笑える本。
物語の中ではボツになった企画案だけど、「日本のアーミッシュ」というのはなかなか面白いキャッチコピーだと思った。現実に、ここまで文明の遅れた土地が日本国内に存在するなら、立派な観光名所になる。軍艦島に人が住んでいるようなものだ。3月30日(月)
昼間にナレーション収録のお仕事があった。かれこれ5年目ぐらいになる、甲子園球場のインフォメーションビデオ。タイガース戦の試合開始前、打撃練習の時間に、ビジョンで流す10分程度の球場案内である。甲子園でタイガースの試合を見る時、早めに球場に入ったら、僕の仰々しく熱い喋りにぜひ耳を傾けていただきたい。
今年から甲子園球場がリニューアルしたのは有名な話。座席は新しくなって荷物を置く場所が出来たし、内野席の呼び名も「アイビーシート」(語源は不明)になっている。ネット裏を覆う屋根「銀傘」が大きくなり、それに従って照明灯も高く伸びたらしい。この日、僕の声でナレーションを収録したビデオでは、チケットの販売場所や払い戻し方法など例年通りの内容に加え、球場がリニューアルしたポイントも紹介している。
2年ほど前から登場している、人気選手ゆかりの飲食メニュー。確か第1号が赤星ラーメンで、その後、金本アニキのスタミナハラミ丼とか、誠のつけ麺なんてメニューが追加されていったのだが、今ではそれが10品目近くまで増えている。それだけよく売れるのだろう。球場で空腹を満たしたい時、どうせならそこでしか食べられない、選手の名前を冠したメニューを選ぼうと考えるのは当然のファン心理だ。個人的に一番食欲をそそられたのが「ジェフバスケット」。写真を見た感じ、何の変哲もないサンドウィッチのようだけど。助っ人外国人でここまで球団の看板になっている選手もめずらしい。3月29日(日)
1ヶ月後に迫っている、ROCK KIDS 802のイベント「REQUESTAGE 7」に出演が決まっている、ポルノグラフィティのライブを見に行った。場所は神戸ワールド記念ホール。
今年でデビュー10周年を迎える彼らだが、人気が衰える気配は全くない。神戸2DAYSの2日目だったこの日も、会場は超満員。3割ぐらいを男性客が占めているのも驚きだった。
ライブはちょうど3時間ほど。だらだらと長いMCがあるわけでも、ソロパートやメンバー紹介、ステージ移動などに無駄な時間を費やすわけでもない。とにかくボリュームが多いライブだった。昭仁の喉の強さはほとんど人間離れしているといっていい。2日目の後半になっても、高音に全くぶれや掠れがない。MCで喋っている時は少し嗄れているように聞こえるのに、歌には影響が感じられないのだから大したもの。10年選手らしい貫禄すら感じる、実に堂々としたパフォーマンスだった。
晴一がMCで語っていた言葉は印象的だった。「音楽を作って売るという行為は、宛名のない手紙をポストに投函するようなもの。その手紙が、どうにか皆さんのもとに届いたことが嬉しい」と言っていた。アーティストも、自分の作った曲が世間にどう受け止められるか、常に不安を感じるものなのだろう。そのたとえで言うなら、DJは郵便配達員ということか。受け取るべき人のところへ、しっかりと責任を持って届ける。そんな自分の仕事に、誇りを感じられる言葉だった。3月28日(土)
道尾秀介の「向日葵の咲かない夏」という本を読んだ。「このミス」の作家別投票で1位になった気鋭の人気作家だそうだが、期待していた内容とは大きく違っていた。ミステリーというよりは、ホラー小説である。
同級生の自殺現場に遭遇してしまう少年。死んだ同級生は、別の生き物に姿を変えて少年の前に現れ、本当は自分は殺されたのだと告白する。それから少年は、真相を暴くべく調査に乗り出すが、謎が謎を呼び、事件は意外な方向へ発展していく。
基本的には主人公の少年の視点で描かれているため、少年が思い込んでいることは読者も強制的に思い込まされることになる。それがミスリードを呼ぶ。結末で妄想と嘘が次々に明らかになるが、何が現実で何が虚構なのか、よくわからなくなってくる。読み終えたばかりなのに、いまだによくわからないし、あまりよく覚えてもいない。3月26日(木)
春物の洋服を買いに、いつものセールに出かけた。
今回は春物しかないサンプルセールなので、品数が少なかった。結局、紙袋一つに収まる程度の量しか購入せず。買ったのはなぜかワイシャツが多かった。毎年思うことだけど、春という季節は何を着たらいいのかわからない。特にインナーの調節が難しい。いろいろ服はあるのだけど、どう組み合わせても、薄すぎるか厚すぎるか、どちらかのように感じてしまう。実際、よく失敗するし。Tシャツ一枚で出かけられる夏が待ち遠しい。
買い物の後、渋谷を歩いていたら、the GazettEのトラックが走っているのを発見。昨日発売になったシングルの広告だろう。思わず携帯で写真を撮ってしまった。渋谷って都会なんだなぁと今さらながら実感した僕である。3月25日(水)
実家近くにあるイトーヨーカ堂へ買い物に行ったら、平日の昼間だというのに駐車場に長い列。何ごとかと驚いたが、店内に入って合点がいった。WBCの優勝記念セールが始まったのである。20%のキャッシュバック。会計を済ませた後、レシートを持って別のカウンターへ行き、現金を受け取るというシステムだった。はじめから割り引くのとどこが違うのだろう。無駄を感じる方法ではあったが、2割安くなるというのはけっこう大きい。平日の混雑も無理はない。
それにしても、寒い。桜が咲いたはずなのに、この風の冷たさは何なのか。花冷えというやつか。僕が一番苦手な季節かも。3月24日(火)
日本がWBC連覇を達成した。決勝戦は本当に緊迫した展開だった。韓国よりも10本以上多くのヒットを打ちながら、同点で延長戦に突入したこの試合。もし負けていたらどんなバッシングが起きていたか、想像すると恐ろしい。
昨日までの深刻な不振で、イチローはスタメンから外すべきだという声があれだけ多かったのに、試合を決める一打を放ったことですべて帳消しになってしまったような感がある。「出さないわけにいかない」存在であるイチローの不振が、日本代表をさんざん苦しめ、時に敗戦の要因にもなった事実を忘れてしまっていいものか。たまたまあの場面でヒットを打ったイチローを、英雄のように持ち上げる気には、どうしてもなれない。歯を食いしばって彼をカバーしてきた他の選手達が不憫すぎる。
さて、試合が無事に終わったところで、新幹線に乗って帰省した。今回は、犬を連れての単独移動。長時間電車に乗せるのは初めてだったので、緊張してしまった。キャリーに入れて歩いていると酔ってしまうようで、乗り換える時に吐いてしまうのだけど、電車に乗ってしまえばおとなしく、吠えたり鳴いたりすることは一度もなかった。とりあえず、電車のホームでキャリーの中のペットシートを取り替える手際の良さだけは上達した。3月23日(月)
最近のヒット曲を聞いていて、常々思うこと。女性ヴォーカルのバラードに、男性のラップをフィーチャーした曲がなぜこうも多いのか。
青山テルマの「そばにいるね」とか、童子-T feat. BENIの「もう一度」あたりが連続して流行った頃から、猫も杓子もという状態になっている気がする。女性ヴォーカルだけの曲だったら、あるいはラップだけの曲だったら、ここまで食傷気味にはならないだろう。とにかく「またかよ」と思わずにいられない。シンガーもラッパーも、楽曲の魅力を最大限に引き出すために、その形態がベストだと本心から思って共演しているなら別にいい。気がかりなのは、アーティスト本人の意志に反する場合でも、レコード会社が「今の時代は、ラップが入った方が売れるから、誰か探してみよう」などと安易に共演させている傾向があるのではないかということ。
先に売れたアーティストが、自分の曲に仲間をフィーチャーすることで、無名だったアーティストの知名度を上げるというのは、アメリカのヒップホップの世界では当たり前に行われている手法だ。しかしワンパターンすぎるのもどうか。この余計なラップが入らなければ、いい曲なのに。そんな曲が、あまりにも多いのだ。3月22日(日)
豊洲にあるキッザニア東京に続き、いよいよ関西にもオープンするキッザニア甲子園。来週の開園を前に、プレオープンでひと足先にお邪魔してきた。キッザニア甲子園にはFM802のパビリオンもあるため、DJである僕はその恩恵に与った格好である。このチャンスを逃すと、一般の予約は6月以降まで一杯なのだとか。
会場内には、802の他のDJやスタッフの姿も多数見かけた。もちろんみんな家族連れ。キッザニアは、子供のいる人しか中に入れない。正確には、子供に連れて行ってもらわなければ入れない場所なのだ。
キッザニアは、子供達にありとあらゆる職業を体験させてあげる場所。50以上あるパビリオンの中から興味のあるものを選んで中に入り、制服を着て、30分ぐらいのミニ体験をする。飲食、医療、マスコミ、自動車、航空などなど、業種は多岐に渡る。キッザニア内だけで通用するお金を給料として受け取り、銀行に預けたり、買い物をしたりもできる。すべてのパビリオンは実在の企業がサポートしている。そのうちの「ラジオ局」をFM802が担当しているということだ。
話には聞いていたが、一体どんなところなのか、本当に楽しいものなのか、行ってみるまで全然わからなかった。実際に中に入ってみての感想は、とにかくすごい。感動しっぱなし。これはすごい発明だと思った。幼い頃にやった「ごっこ遊び」の究極の形。子供にとっては夢のような5時間である。人気のテーマパークがファンタジーの世界を提供してくれるのとは違って、キッザニアは現実の大人社会を子供に体験させてくれるのだ。
一度に入場できる人数が限られていることもあって、入場料は安くない。そのお金のほとんどはおそらく人件費につかわれるのだと思う。スタッフの数が尋常でない。そのスタッフが、一人一人の子供に対して、非常に丁寧に、優しく接してくれるのが印象的だった。
ちなみに、一緒に入っている大人も全く退屈しない。自分に子供がいない人は、親戚や近所の子供を捕まえてでも一度は行ってみるべき。3月20日(金)
荻原浩の「メリーゴーランド」を読了。ヒット作「神様からひと言」とよく似た、「働く男の悲哀シリーズ」ともいうべき、楽しい小説だった。
地方都市の役所に勤めている36歳の男。赤字経営で破産寸前になっている、第3セクターのテーマパーク再建を請け負う部署へ配属される。全く危機感なく、典型的なお役所体質が息づいている職場で、どうにか結果を出すべく奮闘する姿をコミカルに描く。あいかわらず、この人の小説はよく笑う。会話のテンポがよくて、コメディドラマを見ているようだ。
倒産やリストラの心配がない、ぬるま湯の暮らしに慣れて、市民の血税のありがたみを全く理解しないでだらだらと過ごす役人達。呆れ返るばかりのおじさん達のだらけぶり。現状を打破しようとすれば悪者にされてしまう雰囲気。いくら何でもそこまでひどくはないだろうとは思うけど、いわゆるお役所体質とはこういうものかと勉強になった。
主人公の推し進めるプロジェクトは、どうにかこうにか結果を出し始め、テーマパークにもついに明るい兆しが見えてくる。迎えるラストは決してハッピーなものではないが、爽やかな読後感が残る。内容としては映画「県庁の星」と近い感じ。3月19日(木)
あいかわらず、WBCの試合を欠かさず見ている。日本はキューバを二度破り、準決勝進出を決めた。
楽天イーグルスを応援している一人として、この日、キューバ打線を完璧に抑えた岩隈のたくましいピッチングは、見ていて涙が出るほどに感動した。波があると指摘されてきた打線も、苦しみながら何とか得点をもぎ取り、素晴らしい一体感を見せてくれた。ただし試合後のコメントにイチローの苦悩が現れていて、同情したくなるほどだ。
昨日の試合で、韓国が国旗をマウンドに立てた行為が波紋を呼んでいる。ああいう下品な行動を取ることで、日本に限らず、諸外国の野球ファンが韓国を見る目はどんどん冷ややかになっていくことだろう。好敵手としていい戦いをしても、試合後の態度が台無しにしてしまう。それに比べると、日本は選手も報道も本当にクールだし、紳士的だと思う。
ところで、準決勝進出が決まり、今後の試合日程を確認したら、決勝の時間に僕が帰省の新幹線に乗る予定になっていることが判明。慌てて予約を変更したのだった。3月18日(水)
久しぶりにライブをハシゴした。
まずはなんばハッチでのスキマスイッチ。久しぶりに二人で活動を再開して最初のツアーとなる今回は、バンドではなく、二人だけのステージ。大橋のアコギと常田のグランドピアノ、そして大橋が叩いてループさせるためのドラムセットのみのシンプルなライブだ。有名なヒット曲も、しっとりとしたアレンジに生まれ変わっていて新鮮だった。スキマスイッチは二人組なんだ、という一番ベーシックなところをはっきりと提示する意味があるのだろう。もちろん息はぴったりだったし、演奏も過不足ないボリュームに感じられた。
その会場を途中で抜け、次はIMPホールへ。打って変わってDir en greyである。この春のライブハウスツアーの前哨戦として開催されたこの日のライブは、何とMALE only。男限定ライブを見るのはいつ以来だろう。
まず、客席に漂っている匂いがいつもと違う。曲が終わった後の歓声ももちろん違うし、暴れ方に統一性が全くない。洋楽のライブを見ているような感覚になった。後ろの方でおとなしく見ていたのだが、アンコールの締め、ラスト2曲で思わずヘドバンしてしまった。よもやの「羅刹国」と「残」という爆寸コース。たぶん初めて生で聞いた「残」は、ヴォーカルの歌い方が大幅に変貌していて、格段にかっこよくなっていた。
それにつけても楽しいぞ男限定ライブ。客席の空気が変わるだけで、バンドそのものがこうも違って見えるものか。次回こそ僕も前だ。モッシュピットだ。3月17日(火)
近頃キッズの間で流行の兆しという、Waveboardなるものを衝動買いした。スケボーの一種である。スケボーと違うのは、まず形状。上から見るとひょうたん型になっていて、真ん中は支柱で繋がっている。左右がねじれて逆に傾く構造になっている。そしてタイヤが、左右に1輪ずつしかない。自転車と同じだから、ボードの上に立ったまま静止することはできないわけだ。そのかわりこのボード、スケボーと違って「漕ぎやすい」という利点がある。一度上に乗ったら、脚をくねらせるだけで前に進む。
さっそく遊んでみる。さすがにすぐに乗れるようになるものではなく、コツをつかむまでにはちょっと時間がかかりそうだが、漕ぎ方の要領は何となくわかってきた。方向転換の仕方などは、スケボーよりもむしろ簡単そう。
送料を入れても4000円前後。すぐに飽きそうな気もするけど、おもちゃに払える金額ではある。この春はこの新兵器でちょっとアウトドアしてみようかな。3月16日(月)
なかなか風邪が完治しないので、のど飴を常備している。最近、すごく美味しいのど飴を発見した。ノーブルの「男のど飴」というやつがそれだ。
梅のキャンディーというのは大概、舐め始めのうちは酸っぱいのだけど、途中からはただの甘い飴になってしまう。ところがこの「男のど飴」は、しばらく舐めていても味が変化しない。梅の酸味と旨味が持続し、ちょっぴりしょっぱかったりもする。小梅ちゃんの外側の味がずっと続く感じ。こういう飴を待っていたのだ。もちろんノンシュガー。
ただし難点は、続けて舐めているとすぐに口の中が傷だらけになってしまうこと。3つ目あたりでもう痛くてギブアップ。これは何とか改善できないものか。男のど飴なんだから我慢しろということかもしれない。3月15日(日)
何年も前にリスナーの人からプレゼントしてもらっていたのに、絵のタッチがどうしても受け付けなくて、見ないまま置いてあった「The World Of GOLDEN EGGS」のDVD。テレビのCMで見て「これは面白いかも…」と思い、今さらながら拝見した。で、まんまとハマった。ずっと二十世紀少年だった携帯のカスタムジャケットもさっそくGOLDEN EGGSに変更。
絵にセリフをあてていくのではなく、先に収録したコントに絵を合わせてアニメを作る。ありそうでなかったプレスコアニメ。これはアニメの概念を変えるなかなか画期的な発明である。セリフがぶつかったり、間違えたりといったNGもお構いなしに進行していく。なのにアニメ。例えて言うなら、スネークマンショーにアニメをつけているようなアドリブ感。声優を務める二人の芸達者ぶりも見事である。思わず真似をしたくなるキャラ多数。
そしてこの日、このGOLDEN EGGSのライブが堂島リバーフォーラムで開催された。劇中に使われる音楽をバンドが生で演奏したり、スクリーンでアニメを流したりしつつ、主役の声優二人が舞台に登場して愉快なトークを繰り広げる、というもの。何だかいまいち趣旨がよくわからないのだけど、アニメ本編と似たゆるさが漂う、なかなか楽しいひと時だった。バンドのメンバーとコーラス、ダンサーなど、舞台に上がっていたキャストを全員合わせたら30人近くなる。どう見ても赤字興行。まあ、DVDの方でぼろ儲けしているから、この程度の赤字は痛くもかゆくもないというところか。3月14日(土)
伊坂幸太郎の「グラスホッパー」を読んだ。
主人公は3人。亡き妻の復讐を企てるも、「押し屋」と呼ばれる謎の殺し屋に先を越されてしまった元教師の男。ターゲットを「自殺させる」専門の殺し屋「鯨」。そして、ナイフを使った惨殺を請け負う殺し屋「蝉」。「押し屋」の謎をめぐって、3人がそれぞれに動き始める。生き残るのは誰か・・・。
伊坂幸太郎の作品の中では、異質ともいえるバイオレンス小説だった。とにかく人がよく死ぬ。お洒落で深いセリフなどは相変わらず多いが、生きるか死ぬかの瀬戸際でそんな気の利いた会話をされると臨場感がなくなる。この人の文体は、こういうシリアスな小説にはあまり似合わないのではないか、という気がした。
それにしても、道路や線路に人を突き落として轢死させ、さっと姿をくらます殺人なんて、成り立つだろうか。人混みでそんなことをしたら必ず目撃者がいるし、本人に気づかれて失敗する可能性も高い。ただ、線路で電車を待っている時、「今後ろからどんと突かれたら、死ぬな」と考えることはある。この小説は、そんな時に思い浮かんだものに違いないと僕は確信している。3月13日(金)
新幹線に乗る前に、新大阪駅構内にある書店に寄るのが習慣になっている。今日はその書店で、何百冊も平積みになっている漫画があった。上には「NANA 21巻 本日発売」の文字。さっそく買って車内で読んだ。
20巻が事故のシーンで終わっていたことからある程度は予想できたことだが、非常に重い、悲しい展開だった。そんな中で、唯一ちょっと楽しめたのは、今回も麻雀の場面があったことだ。皐月が成長した後の未来の場面で、ハチが面子に加わっている。しかも純全帯二盃口などという難しい手で和了っているではないか。あの局面、間八萬が先に出たから良かったものの、七萬でも和了れる形になっていた。八萬なら跳満で12000点、七萬なら一盃口のみで1300点と、得点に雲泥の差がある。ハチが立直にいかずに闇で張ったのはそういう理由と思われる。
NANAの連載が無事に終わった暁には、矢沢さんにはぜひとも麻雀漫画を執筆していただきたいと願ってやまない。3月12日(木)
梅田のロフトで駐車場に車を入れようとしたら、改装工事中だか何だかで利用できなかった。入口の真ん中に1本だけパイロンが立っていて、看板のところに改装中であることを知らせる小さな貼り紙があるだけ。その紙が全然見えなくて、パイロンの手前まで車を突っ込んでから初めて、止められないんだということに気づいた。車通りの多い新御堂筋、恐ろしい思いをしながらバックして出る羽目になった。閉まっているならもっと遠くからわかるように、大きく表示するべきだ。少なくとも空車を意味する「空」のランプが上で点灯しているのは絶対におかしい。
ロフトで買ったのは、ホワイトデーのお返し。特設の売り場には、お菓子だけでなく、入浴剤とか食器とか、あらゆるものが並んでいて面白かった。買いに来ている男性の年齢層もいろいろで、無骨そうな高校生の少年がいたりするのが微笑ましい。ついつまらない見栄を張って、必要な個数よりも多く買ってしまうダメな僕なのであった。3月11日(水)
来週発売される、黒夢のライブアルバムを初めてゆっくり聞いた。1/29に行われた復活・解散ライブ。CD2枚組で、1枚目に本編を、2枚目にアンコールの模様を収録している。あの日の感動が蘇った。安っぽいキャッチコピーみたいだけど、本当にそういう感覚だった。
ライブを見た時、「ミスが多いな」と感じたのは僕だけではないと思う。このライブアルバムには、そのミスの部分も余すところなく収録されている。何といっても目立つのはヴォーカルだ。速い曲ではことごとく先走っているし、入りどころを完全に間違えて、演奏とちぐはぐになっている曲もある。差し替え、一切なし。潔いくらいだ。10年振りのライブで、ちょっと勢い任せになりすぎたところも、もはや隠す必要などないということか。
初回盤にはライブ・フォト・ブックレットが入っている。芸術的なほどにクールな清春の写真が満載で、ファンにはたまらないものだろう。ただ、やはり。黒夢は、二人組のはずなのに。そう思わずにいられないというのが、僕の本音である。3月10日(火)
昨日引き始めた風邪は、明らかに悪化した。鼻水がひどくなっている。
さて、今年もやってきた確定申告の季節。ここ数年は、税理士事務所に書類作成はお願いしているので、源泉徴収票や控除に必要な書類を揃え、経費の計算をすれば僕の仕事はほぼおしまい。年々熟れてきて、スピードアップしている気がする。書類作成といっても、電子申告なので、税務署に書類を送ることもしなくなっている。役所関係の合理化は大いに進めるべきだ。
そしてこの日、僕の身に起きた小さなトラブルについて。その税理士事務所に向かうため、名神高速を利用したのだが、僕としたことがミスを犯してしまった。ETC専用レーンから入ったのに、出口で有人レーンを通過してしまったのだ。阪神高速だと、ほとんどのレーンは有人でもETCに対応しているため、間違えてしまった。車載器が何も言わないので気づいたが、今さらバックで引き返せないところまで走ってしまっていたので、とりあえず先を急いだのだが、後から心配になってきた。不正と判断されても仕方がない行為である。帰りにもう一度ETCから入ったら、普通に入れたからなおさら不気味。
後からものすごい額を請求されはしないかと不安になり、NEXCOに電話で問い合わせてみた。すると、やはりETCで僕が利用した履歴は残っていなかったようだ。事情を説明したら、追加で請求する場合は後から連絡をする、といわれた。料金所を強引に突破する違法車両の取り締まりって大変なのだろうな。たかが700円ぐらいの利用料金のために、ものすごい手間をかけてしまって、申し訳ない気持ちになった。3月9日(月)
一昨日は、WBCの日本対韓国の試合が番組の裏でテレビ放送されていた。僕はそれを録画して、帰宅してから見る予定だったから、番組中に試合経過に関する情報が入ってこないように、必死に外部からの情報をシャットアウトしていた。スタジオ内のパソコンでもYahoo!は決して開かないようにした。番組中にはあろうことかスポーツニュースが入るのだが、アナウンサーが喋り始める直前にiPodを耳に差し込み、ムックの新作を爆音で聞いて防御。誰も俺に話しかけるなオーラを出しながら、何とか無事に帰宅した。手洗いうがいも済んで準備万端。さあ見ようと思ってHDDを起動したら・・・録画できていなかった。虚しくハイライトで結果だけ確認した。そうか。コールド勝ちであったか。
この日は試合開始が7時で、自分の番組が9時から。番組前から802のテレビで観戦することにした。やっと届いたレプリカジャージを身につけて。それもこの日先発の岩隈投手のやつ。残念ながら打線がふるわず、最少失点で敗れてしまったが、さほど悔しさはなかった。録画に失敗した一昨日の方がむしろ悔しかったくらい。
それにしても、日本が唯一の失点を喫した場面、直前の古田氏の解説は見事だった。「変化球主体でインコースを責めているから、サードの村田君はもっとライン際を締めてもいいかもしれない」とコメントした直後に、3塁線を抜けるタイムリーを許した。こんなことってあるのだな、とちょっと感動してしまった。3月8日(日)
講師をしている専門学校の卒業式に出席した。10年近く先生をやっているが、実は卒業式に出たのは初めて。今年から、2年生の授業も受け持つことになったからである。ついこの間まで一緒に過ごした学生達が巣立っていくというのは、週に一度しか会わない僕でもそれなりに寂しい思いはある。
謝恩会は一流ホテルの大きな宴会場での立食パーティー。きれいな袴姿の女の子もたくさんいたのだが、飲み物をこぼしたりして、汚してしまう人がいるんじゃないかと、はらはらしてしまった。音楽の学校らしく、バンドの演奏があったり、合唱があったりと賑やかで、楽しい宴だった。講師はあくまで脇役なので、僕は途中でするっとフェードアウトしたのだけど。
慣れないスーツに革靴で出席したわけだが、コートを持って行かなかったので、さすがに少し寒かった。人混みで誰かにうつされたのか、鼻の奥が痛い。どうやら風邪を引いてしまったらしい。3月7日(土)
昨日に続き、ムック三昧の一日。REDNIQS出演の前には、NU茶屋町のタワーレコードで行われたインストアイベントの司会も僕がやらせてもらった。
始まる1時間前、いざトークの内容を打ち合わせましょうという段になって、事前に与えられた台本を見たメンバーから不満の声が上がり、白紙撤回。30分のトークの内容をその場で考えなければならないという事態になった。とりあえずスケッチブックとマジックをメンバー分買って来てもらい、フリップを使ったクイズ的なものにしてはどうか、という案を採用。問題を考えるのは僕である。ムックの過去の音源の、曲名を漢字で正しく書けるでしょうか、という問題を考案した。イベントが始まる10分前にCDの売り場を覗き、ムックのCDを見て問題となる曲名を考える。「蘭鑄」とか「咆哮」といった難読漢字のタイトル、つけた本人はちゃんと書けるのか。本番では案の定全員が不正解という体たらくだったが、それはそれで大いに盛り上がった。
準備ではずいぶんバタついたけど、久しぶりのイベント司会を楽しんですることができた。それにしても、初めて行ったNU茶屋タワー。こんなに広いとは。3月6日(金)
先週、東京駅で職務質問を受けたことをこの日記に書いた。あの日、僕が職質を受けた理由が「帽子で顔を隠すようにして歩いていたから」というものだったら、今週も同じように帽子を深くかぶって歩けばまた呼び止められるはずだ。そう思って、改札を出たところでわざわざ帽子をかぶった。案の定、また職質を受けた。今度は若い警官で、一人だった。
僕は毎週大阪と東京を往復していて、先週も同じように呼び止められ、荷物を全部見られたことを説明した。さすがに警官も苦笑い。今回は財布やポーチの中まで見ることはさすがにせず、鞄を開いてざっと眺めただけで納得したようだ。
これではっきりした。警察官の職務質問を受けたくない人は、帽子を深くかぶることはしない方がいい。
ところで、職務質問といえばYouTubeで興味深い画像が投稿されている。神戸で職質を受けた者が、自分を詰問してくる警察官をずっとカメラで撮り続けているというものだ。撮影者は絶対に名を名乗らず、持ち物も見せず、同行にも同意しない。警察官は当然、烈火のごとく怒り、しかし最終的には諦めて引き上げる。
職務質問には強制力がないらしい。だから質問に応じるように説得する以外にないのだとか。そうだったのか。来週も帽子を深くかぶって職質を受け、この動画のようにのらりくらりと警官をかわしてみようかな。そんなことを繰り返しているうちに、警察官と仲良くなったりして。3月4日(水)
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで明日から始まる「マジカル・スターライト・パレード」のプレスプレビューを見て来た。USJ初の夜のパレードで、電飾をつけたフロート(山車みたいなやつ)が33台、パーク内を練り歩くというもの。始まる前には、大抜卓人くんの司会でセレモニーも開催された。ポケットに手を突っ込んだまま挨拶を始めたUSJの米国人社長による酩酊会見を彷彿とさせるトークと、スポンサーのアートの女性社長の緊張たっぷりの挨拶との、ギャップが何より面白かった。
「不思議の国のアリス」に始まって、「アラビアン・ナイト」、そして「シンデレラ」という3つの物語を、フロートやダンサーのパフォーマンスで表現していく。イルミネーションの美しさは言うに及ばず、間近に見るフロートの迫力はなかなかすごい。そして何より、ダンサーのプロ根性に脱帽。見るからに寒そうなコスチュームの人も多かったが、自然な笑顔で楽しそうに、全員が完璧な踊りを披露していた。流れる音楽に合わせて、口ずさむように唇を動かしているのだが、歌詞はもちろんすべて英語。全員がきっちり歌詞を覚えるよう指導されているに違いない。同じペースで移動しながら1時間近く踊り続ける。重ねたリハーサルの量を思って、その完成度に感動してしまった。
幻想的で美しいだけでなく、愉快で、ワクワクするようなパレード。昔ながらのサーカスや遊園地の雰囲気の漂う瞬間もあって、すべてのフロートが通り過ぎるまでの数十分間は、本当に夢を見ているようだ。
パレードの後には、レストランでパレードにちなんだ料理もいただいた。「マジカル・アラビアン・セット」というプレートメニューで、チキンやパン、クスクスなどが盛られた豪華なものだった。パレードを待つ間、寒くてすっかり身体が凍えていたので、暖かい食事はそれだけでプライスレス。
USJに行ったのはおそらく、GLAY EXPOの記者会見の時以来だ。時間がなくてアトラクションを楽しむことはできなかったけど、やっぱりテーマパークの華やかな雰囲気は楽しい。次は仕事抜きで、朝から晩まで堪能したいものだ。しばらく行かないうちにアトラクションもずいぶん増えているし。3月3日(火)
ひなまつりだからというわけではないけど、奥田英朗の「ガール」を読了した。最高に面白かった。
三十路の女達、5人の日常を描いた短編集。露骨な男尊女卑の残る会社で奮闘する既婚の女、ついに自分のマンションの購入に踏み切ろうとする女、昔はイケイケのギャルだった女、離婚して一人で子育てをしながら会社勤めを続ける女、ひと回りも年下のイケメン後輩に惑わされる女…。置かれる立場はそれぞれなれど、若さが最大の武器となる年頃を過ぎ、焦ったり、悩んだり、諦めたりしている点は共通している。
年月は否応なしに流れる。男どもからちやほやされなくなっても、人生は続くのだ。彼女達の本音は、同世代の女性の多くを代弁しているように感じた。周囲の無遠慮な発言に対して内心で毒づいている様子は、男性の作家が書いたとは思えない生々しさがある。たくさんの女性達に取材をした結果だろう。仕事や恋愛、趣味、服装、化粧など、ありとあらゆることを根掘り葉掘り調査して、これだけリアルな小説に仕上げたに違いない。
この奥田英朗の文章が、最近の作家の中では一番好きかもしれない、と思った。吹き出す頻度が非常に高いというのもあるが、ストレートで、説明が芸術的なほどに的確なのだ。特に感銘を受けたのは、「社会が豊かになって、思春期が長くなった」というくだり。自分が二十代だった頃、今の自分の年齢の人達はただのおばさんにしか見えなかった。実際、ただのおばさんだった。でも今は違う、と主人公は意見する。「婚期や出産年齢が昔に戻ったら、東京のレストランの半分は閉店に追い込まれる。アパレルと旅行業界は大打撃を受け、日本経済全体が落ち込むだろう。」結婚しないことをとがめる前に、日本経済を多くの独身貴族が支えている事実を忘れるな、という主張。ごもっとも。3月1日(日)
伊坂幸太郎の「チルドレン」を読んだ。短編集のようでいて、すべてが繋がっている長編としても楽しめるという、伊坂文学ならではの本だった。突飛な言動で周囲を唖然とさせる男、陣内。しかし彼を心から嫌う者は一人としていない。そんな彼を中心に起きた、何気ない出来事が綴られる五編の作品集である。
盲目の青年とその恋人、陣内の職場の同僚など、陣内を取り巻く知人の視点で進行していく。陣内のマイペースな発言に呆れつつも、彼のペースにはまってしまう様子が面白い。彼は大人になってから家裁調査官の職に就いており、普通の人にとっては日頃あまり馴染みのないこの仕事についても詳しく描かれている。
ハラハラドキドキの展開はないし、涙が出るような感動もない。でもところどころでクスリと笑って、爽やかな気分になれる、読みやすい小説。伊坂幸太郎を読んだ後は、気の利いた台詞を吐きたくなる。
